歴代理事長・飯田 寛和
日本人工関節学会は1971年に第一回人工関節研究会として発足しました。破壊された関節機能を人工物によって再建しようという試みは20世紀の前半から盛んに行われましたが、長期間にわたって生体内で機能させるためには多くのハードルがありました。ちょうど50年前にSir John Charnleyによって開発された人工股関節がこの高いハードルを打ち破るbreak through的成果をあげたことで、人工関節が関節外科における革新的治療として普及してきました。現在では人工関節は既に最も成功した治療として広く認知され、股関節のみでなく、膝関節はじめ全身の関節に人工関節が使用されるようになっており、本邦において年間12万件以上の手術がなされています。また、Technologyの進歩は著しく、人工関節を構成する要素については多くの改善がなされ、更に治療成績の向上が期待されます。一方、手術件数の増加に伴って合併症も増加しており、新たな開発、改良に伴って新たな問題が浮上することも多いのが実情です。これらの問題に対処するために、既に欧米では人工関節種々の全症例登録システム(レジストリー制度)が施行されて多くの有用な成果を挙げています。日本人工関節学会におきましてもこのシステムの整備が重要な課題と位置づけ、6年間の試行期間を経て今年度よりこのシステムを全国展開して普及させるべく活動しておりますのでご協力宜しくお願いいたします。