歴代理事長・中村 孝志
日本人工関節学会は我が国での人工関節の普及と研究発展を目指して1971年に人工関節研究会として発足しました。当時は英国のCharnley卿が人工股関節の実用化に成功し、日本に人工関節が導入された黎明期でした。熱意にあふれた先達の方々が集まり、最初の研究会を京都大学の旧内科講堂で開催しました。当時から研究会は他学会との重なりを避けて、1月の末に開催するのが恒例となってきました。その後、我が国での人工関節の発展とともに、研究会は会員と発表演題数が増加したことにともない、1995年に研究会から学会への発展が決定し、1997年の第26回学術集会より人工関節学会として会の運営を行っており、研究会発足より40年が経過しました。
現在では股関節で人工骨頭と人工関節を合わせて5万、人工膝関節が7万近く行われ、それ以外の関節でも優れた成績が得られ、人工関節は末期関節症にとって不可欠な治療となっています。このように広く人工関節が行われるようになり、人工関節学会の役割はますます重要になって来ていることは明らかです。機能的にも耐用性でもより優れた人工関節の開発、より安全で低侵襲な手術術式の開発、さらに人工関節の成績を評価するシステムや合併症に対する診断法の開発などが学会の課題です。そして、何よりも学会を通して、次世代を担う人材を養成していくことも大きな役割と考えられます。
このような課題を遂行するために、医師やエンジニアをはじめ人工関節に関わる全ての方々の学会への参加を希望しています。