一般社団法人 日本人工関節学会

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歴代理事長・山本 謙吾

歴代理事長 山本 謙吾

このたび三浦裕正先生の後任として日本人工関節学会理事長を拝命いたしました東京医科大学の山本謙吾でございます。浅学菲才の我が身には大変な重責を担うことになり粛然たる思いがいたしております。
本学会は、人工関節に関する臨床的ならびに基礎的研究の進歩、発展を図ることを目的として昭和46年(1971年)第1回人工関節研究会として発足し、その後、多くの先輩方のご努力によって発展を遂げ、平成8年(1996年)の第26回からは日本人工関節学会となり、まもなく半世紀を迎えようとしています。現在では会員数3000名余に到る大規模な学会となりました。
人工関節医療は現在では整形外科学において極めて重要な位置を占めており、その手術適応となる疾患対象も先天疾患、外傷、変性疾患、腫瘍等非常に多彩です。また単に手術手技を習得するのみでなく、対象となる疾患の病態生理を把握し、その特性を理解すること、さらに使用するインプラントの材質、形状などの特性を十分に把握して手術に臨むことが必須です。
現在国内において年間十数万件を越す極めて多数の人工関節手術が行われ、その数は年々増加の一途をたどっていますが、その手術適応、手術方法、インプラントの選択などに関して十分に検討がなされたのか、さらにインプラントのlongevityの向上さらには患者のQOLの改善に確実につながったのかどうかの検証が十分になされているとは言い切れません。
歴代理事長が尽力されてきた多くの活動の目的と内容をしっかりと理解し継承しながら、さらに上記のような点を改善し発展させていくことが私の使命の一つであると考えております。
これまで本学会において行われてきた主な活動を振り返りますと、まず人工関節登録制度については、現在、THA、TKA、reverse shoulderに関して登録を実施しており、年々登録症例数は増加してきているものの、まだ地域格差や施設格差があるのが現状です。現在日本整形外科学会において症例レジストリー委員会が立ち上がり整形外科手術症例の登録に向けてのシステム作りが進んでおりますが、日本人工関節学会もこれに積極的に連動しながらさらに世界各国のレジストリーに遜色のないものに近づけられるよう、また一方でわが国独自のレジストリーとして幅広く登録を奨励していく手段を構築することにも努力をしてまいりたいと考えております。
また人工関節認定医制度に関しましてはこの2年間認定医制度検討委員会を中心に慎重な検討がなされ、本年からいよいよ制度が発足いたします。人工関節を専門として医療を行おうとする医師は極めて広い領域の知識を習得する必要があります。また単に手術手技を習得するのみでなく、対象となる疾患の病態生理を把握し、その特性を理解することが手術適応の判断には不可欠です。臨床実績ならびに学術研究の評価を経て認定を進めてまいりますが、手術手技にとどまらず、使用するインプラントの材質、形状などの特性を十分に理解しないままに行う手術は患者のQOLに多大な障害をもたらす可能性があります。認定および更新に際してはこれらに関する基本的知識を盛り込んだ学会認定の教育講演等を受講することが必須となりますので常に知識をブラッシュアップしていただけることになります。 さらに国際化の推進に関しましては現在国際化委員会を中心として検討が進んでいる会員の海外研修、海外の学会との交流などを早い時期に実現してまいりたいと考えております。
これら以外にも広報や学会誌編集などの業務も見直すとともに、歴代理事長が牽引してこられた種々の活動をさらに活性化させられるよう理事、評議員、すべての会員の皆様のお力を頂戴しながらひとつずつ歩を進めてまいりたいと存じますのでご指導、ご協力を何卒よろしくお願い申し上げます。