理事長就任のご挨拶
このたび山本謙吾先生の後任として日本人工関節学会の理事長を拝命致しました京都大学の松田秀一でございます。歴史ある本学会の理事長を務めることになり、身の引き締まる思いでおります。
本学会は人工関節研究会として1971年に設立され、現在では正会員数が3,800名を超える大きな学会となっております。人工関節置換術の臨床成績におきましては、多くの先達のご努力により、耐用性は大きく改善され、日本における手術数も年々増加しています。しかし、人工関節に関する全ての問題が解決したわけではなく、患者さん側からみると、より低侵襲で耐用性に優れ、術後の活動性に制限が少ない手術が求められています。学会は学問を進めていくところであり、私たちは科学の力を持って様々な問題を解決していく必要があります。
私は就任にあたり、3つの目標を掲げさせて頂くことにしました。1つ目は人工関節に関する研究のさらなる活性化です。人工関節に関する我が国の論文数はアメリカ、中国、イギリス、ドイツについで5番目という状態が長らく続いています。今後は研究を活性化して研究成果を世界へと発信していく必要があります。2つ目は若手整形外科医の教育と啓発です。人工関節の手技・成績がある程度安定してしまったためでしょうか、最近は人工関節に興味を持つ若手医師が以前ほど増えていないようにも感じています。教育体制を充実させ、臨床経験を踏んでもらいながらclinical
questionを若手医師からどんどん出してもらえるような環境作りが必要と考えています。3つ目は国際化の推進です。国際学会での日本のプレゼンスは残念ながら高いとは言えません。個人だけではなく日本人工関節学会としても海外の学会との交流を活発にして日本の医師の国際学会で活躍できるような場を提供できるように努力していく所存です。
これらの目標達成のために、様々な方策を打ち出していきたいと考えています。会員の皆様方におかれましては、ご協力をお願いするとともにご意見も頂戴できればと考えております。よろしくお願い申し上げます。
理事長 松田 秀一